- Story -
mosaique season1 REAL‐LOVE
File2『RAIN』

1997年、夏。横浜。
「もし、その日雨が降っていなかったら母さんと父さんは出会わなかった。そしたら、僕も生まれなかった」
 13歳のソラは一度も会ったことのない父に会いに、たった一人で病院へ行く。父は40歳で病に侵され危篤状態。会ったことがない父に情の湧かないソラは、自分の出生について改めて問う。ソラは、父と母がたった一回交わした許されざる恋の結晶だった。
 病院で父の家族から冷たくされ、ショックと苛立ちの中病院を出ようと歩いていると、見知らぬ少年、キラに出会った。彼は屈折していて初対面のソラにも攻撃的な態度を取ったが、ソラは彼に興味を抱いた。キラは実は、父とその妻との子だった。つまり、二人は異母兄弟ということになる。しかしキラの話とソラの認識はかみ合わなかった。キラの話では、父が海へ行った日には雨は降らず、迎えに行った母と仲直りをして自分が生まれたのだという。反発し合いながらも共にいるうちに二人は同時に13年前へとタイムスリップする。
 1984年、夏。湘南。
海の家で働いていたソラの母は巷で「マドンナ」と呼ばれていた。7月27日。この日に急に大雨が降り、ソラの父がやってきて恋が始まったのだ。父は、実業家の息子で、大企業社長令嬢と結婚したばかりだったが喧嘩ばかりで湘南に飛び出してきていたのだ。金持ちでカリスマ性のあった父は、周囲から「プリンス」と呼ばれていた。
海の家でソラが見守る中、マドンナとプリンスが出会う時刻が近づいてくる。しかし、待てども待てども雨は降らない。雨が降らないから、プリンスはやってこない。タイムスリップしたソラは、隠れて様子を伺うが、結局その日に雨は降らないまま、マドンナとプリンスも出会わないままだった。
そのまま、二人は共に出会わない人生を生きていく。
「このまま母さんが父さんと出会わなかったら、僕はどうなるんだろう」
 不可思議な旅の中、ソラは自分の存在に不安を覚えていく。同じころ、キラは同時にタイムスリップしたものの、キラの飛んだ世界では雨が降ってマドンナとプリンスが出会っていた。そのまま二人は恋に落ちていく。キラは焦る。このままでは自分は生まれないことになる。
「このまま母さんが父さんと仲直りしなかったら、僕はどうなるんだろう」
 あの日雨が降ったから―。
 もし、降らなかったら?
 たった一つのifで全く違った人生を歩んでいく父と母の姿を、未来の子供の目線を通じて同時進行で描く。真実はどちらか、本当に生まれたのはソラなのか、キラなのか。
「どちらかではなく、僕ら二人ともがハッピーな結末はないの!?」
2人の少年は大奮闘の旅の果て、究極のハッピーエンドへと突き進んでいく。


登場人物&配役


                      


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